移民の多い国イギリスで4年暮らし、様々な国の出身者を触れ合う中で知った世界の様々な地理的タブーをご紹介します。

日本社会でこのような国の事情や歴史を知ることは難しいので、私も知らないことばかりでしたが、これを言うと友情に亀裂が入ってしまったりすることもあるので、知っておいて損はないです!

またこのような事情は人によって理解が違ったりもするので、デリケートな問題には柔軟な考えを持って接するしかないのかなとも思います。

ヨーロッパの話題が多いですが、それ以外にも触れています。

 

1、スコットランドとイングランドを間違える、イギリス=イングランドと言う

これは比較的有名な話ですが、イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの地域が合わさってできた国です。

しかしイングランドの存在感が強く、またイングランドという名前がそもそもイギリスというUKの日本語名と似ているためかごっちゃになっている人がいます。

英語でも例えばアメリカ人などよく間違えますが、イングランドはイギリスの地域のうちの一つでしかないので、イギリスの話をしているのに突然イングランドは〜なんて言い出すと、特にスコットランド人はイングランドとのライバル意識が強いため非常に気にします。スコットランドをイギリスの一部とすることは特に何も問題がありませんが、スコットランドをイングランドと間違えることと、イングランドをイギリスそのもののように話すことは良くありません。

近年スコットランドの独立意識はさらにアクティブになっているため、特にイギリス北部スコットランドに行く時は注意しましょう。

 

2、カタルーニャ、バスクの独立問題に触れる

こちらも独立問題に関係がありますが、スペインでもカタルーニャ地方とバスク地方がスペインからの独立を目指し近年運動が盛んになっています。例えばバルセロナはカタルーニャ地方の首都ですが、バルセロナでスーパーなどに行くとスペイン語より大きくカタルーニャ語で表記があり、強いアイデンティティを持っているのだなと感じます。

スペイン人は非常に愛国心が強いので、逆にカタルーニャやバスク地方以外でこの独立問題に触れる場合にも注意が必要です。カタルーニャはスペインじゃない!とスペイン本土側でも言う人がいるので、相手をよく見てから話しましょう。

 

3、チェコやポーランドを東ヨーロッパと呼ぶ

ヨーロッパでは東ヨーロッパ、いわゆる東欧地域は、西ヨーロッパや北ヨーロッパに比べると貧しい国が多く、そこからの移民がより豊かな国にたくさん来ていて、それによる衝突もあります。東ヨーロッパは貧しい、治安が悪い、悪いやつらが沢山いる、というイメージを持っている人は多く、嫌っている人も残念ながら少なくありません。

そのためか、チェコやポーランドの人達は自分達を東ヨーロッパと呼ぶことは好きではないようです。ドイツやオーストリアと共に中央ヨーロッパと呼ぶように、言われたことがあります。確かにチェコやポーランドはヨーロッパ全体では最も貧しい国ではありませんし、文化や歴史的にもドイツなどの影響を受けている面もあります。

ただ、地理の定義は様々ですが、チェコ人やポーランド人以外のヨーロッパ人は、正直なところ、所謂スラブ系言語を話し、スラブ系民族の人達をまとめて東欧人と呼んでいると思います。

しかし東ヨーロッパの定義で気に触る人もいるということを覚えておくと損はないでしょう。

 

4、離島の人達を本土の国の人扱いしない

これは比較的国土の境目がクリアな日本人には分かりづらいことですが、植民地時代のあったヨーロッパの様々な国では、え、そんなところにも領土が。という国が沢山あります。例えばフランスのリユニオン島はマダガスカルの東、南半球にある島ですが、フランスの領土で、そこの住人は自分たちをリユニオン人であると共に、フランス人であると定義しています。そこでうっかりアフリカ人じゃないのなんて言ったら相手の気に触ります。

他にもスペインではグランカナリア島、マヨルカ島などアフリカの方に近い赤道を超えたところにいくつも有名な島があります。そちらの島出身の人だと見た目も本土の人達と少し違ったりしますが、それでも独立問題などがない地域であれば基本は本土の国のアイデンティティを持っている可能性が高いので、うっかり違う扱いをしないようにしましょう。

赤道を大きく超えてまで領土があるというのも不思議ですが、実際の位置よりも、政治的な定義を優先した方が安全ということです。

 

5、南米人の前でアメリカ合衆国をアメリカと呼ぶ

今度はヨーロッパの外の話になりますが、国であるアメリカ合衆国を単にアメリカと呼ぶと嫌がる南米人が非常に多いです。南米と北米を合わせてアメリカ大陸と呼びますが、その中で一つの国をアメリカと呼ぶと南米人は不平等に感じるようです。そのため、例えば英語であればUS(ユーエス、ユナイテッド・ステイツ)という呼び方をするのが最も当たり障りがありません。あるいは単にステイツでも通じます。

日本語では普通アメリカと呼ぶので、つい英語でもそう言いたくなりますが、南米人の前では気を使うと良いでしょう。英語でもAmericaと呼ぶことはよくあるありますが、南米人の抗議を何度も見たので私はなるべくUSと呼んでいます。

 

6、フィンランド、アイスランドをスカンジナビアと呼ぶ

北欧とスカンジナビアは違う定義で、北欧の方が広く、英語ではNorthern EuropeもしくはNordic countriesですが、その場合はスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドの五カ国を含みます。そしてスカンジナビアというとその中でスウェーデン、ノルウェー、デンマークの三カ国だけになります。

私は上記の国のアイスランド以外に行ったことがありますが、確かにスカンジナビア三カ国は言語や民族の特徴も非常によく似ており、また仲間意識もあり、一つの地域であると感じられますが、フィンランドやアイスランドは人の顔立ちも変わり、また言語や文化も大きく変わるので、国は近くとも、スカンジナビアという地域には入らないと分かります。特にフィンランドは国土がスウェーデンに続いているため間違えやすいので注意が必要です。

日本では北欧というと少し漠然としたイメージがありますが、北欧の定義とスカンジナビアの定義を理解すると、余計な衝突を避けることができるかもしれません。

 

おまけ

逆に私がイギリスで暮らしていて、よく言われてなんだか嫌だなと思う日本への誤解など。

 

1、日本はとても小さい国

世界では国の方向が理解しやすいメルカトル図法の地図が主に使われており、赤道に近い国ほど縮小されて見えます。そのためヨーロッパは実際のサイズよりずっと大きく感じられ、逆にアジアの国々はより小さく見えます。

その地図を見慣れたイギリス人からはよく「日本はあんな小さな島によくあんなに沢山の人がいるね」なんて言われます。

確かに日本は山岳地帯が多く、都市に人が集まっているため、都市の人口密度が高いです。しかし実際の国土で言えばイギリスの約1.5倍あるのに、そのことを知っているイギリス人はあまり多くありません。

最近The True Size Of …という国のサイズ比較用webサイトが流行り、各メディアがメルカトル図法の問題を取り上げたため、若い人の間では日本が地図で見えるより大きいということを知っている人も増えましたが、それでも「日本はとても小さい島」というイメージが強い人がまだまだいるようです。

 

2、アジアをめっちゃ広義で話す

上記の東ヨーロッパの話と似ているかも知れませんが、アジアについて話す時に、中央アジア、西アジア、東アジア、東南アジアを全て一緒くたで話す人がいます。

アジア料理と書かれたお店に行くとインドカレーと寿司が一緒に並んでいたり、髪が黒くて彫りが深くなければ誰でも単にアジア人でひとくくりだったりして、アジアに詳しくない人にはその中の違いには興味がないのかなーと思うことがあります。

これは日本人の中でもノルウェーからスペインまでヨーロッパがひとくくりだったり、南米人がメキシコからアルゼンチンまでひとくくりで区別のつかない人もいるので、その地域に特別興味があったり、知り合いがいたり、行ってみたことがなければ仕方がないのかな、と思う部分ではありますが、え、まぁ確かにアジアだけど…それ私関係ないし…と思うようなシチュエーションもよくあります。

 

3、ユーラシアという言葉を知らない

ヨーロッパ人及び、ヨーロッパ式教育を受けた国の人に多いんですが、ユーラシアという言葉の存在を知らない人達がいます。これについては以前色んな国の人が集まる語学学校で話したことがあり、ヨーロッパは中央教育的であるという批判もありましたが、ヨーロッパ人はヨーロッパをヨーロッパと定義しアジアとは別大陸・地域であると定義するのに対し、それ以外の地域ではヨーロッパとアジアは物理的には繋がっているためユーラシア(ヨーロッパ+アジア)で定義している人が多いようです。

日本ではユーラシアという定義に地理の授業で触れるので、ユーラシアという言葉を全く知らない人と話すと大陸の定義ってなんだという気持ちになります。

 

 

以上各国のタブーでした。こうしてみると世界のどの地域でも周りの国との諍いだったり、国や地域の定義の問題だったりで似たようなタブーが出てくるのかな、と思います。

地理の事情は詳しく知らないとなかなか間違いを犯しやすいものですが、知っている事情については考慮して、なるべく相手が不快にならない言葉選びなどをしつつも、もし相手が日本やアジアについてなんだか気になることを言ってきた時には、知らないことは仕方のないことであると受け入れて、怒らずに丁寧に事情の説明してあげるのがいいかなと思います。