前編ではスコットランドで家探しを始めて、オファーを受け入れてもらったところまでを書きました。

ここからは実際の購入手続き、鍵をもらうまで、引っ越しでの話などを書きたいと思います。

 

4ヶ月の待ち時間

前編の最後に書いたように、私がフラットを落札したのが4月、実際の鍵を受け取ったのが8月末で、その間4ヶ月待つのが落札の条件でした。

私が購入したフラットの場合は、売り手が売る金額が決まってから、その金額を元手にして次の家の購入するというつもりだったようです。

つまりその4か月の間に家を探して買う。もし早く決まれば早く入居も可能だったと思いますが、結局のところ4ヶ月たっても買う家は決まらなかったらしく、売り手は友人宅に移り家は無事売ってもらえるということになりました。

これがこの売り手がこのように約束通り退去してくれる誠実な人だったため問題になりませんでしたが、退去を遅らせるという話もよくあるらしく、うちのように賃貸だと退去が遅れるほど賃料を多く払うことになるのでヒヤヒヤでした。

しかもその待っている4ヶ月の間何度かソリシターに相手の様子をうかがってもらうように頼んだのですが、実際には特に返信はありませんでした…。

このように落札が決まるまではいたれりつくせりしてくれるソリシターももう購入が決まればさっさと金払ってねって感じであまり助けてはくれなくなります…。

ソリシターにもよると思いますがうちはこの連絡のつかなさが大変大きなストレスとなりました。

4ヶ月待つという話も電話での口約束で、実際の入居日を書いて決めてもらったわけでもないので何か保障されているわけでもなく。

え、本当に私は落札者に選ばれたんだよね?と途中不安になることもありました…。

月に一度くらい売り手の状況はどうなんだとソリシターに聞いたものの一度も教えてもらうことはありませんでした。

 

頭金の資金元証明騒動

売り手が買う家を探している間、私は住宅ローンの審査を受け、その他購入の準備をしていました。

この住宅ローンの審査が日本とのやりとりが色々あって大変苦労しました。

まず私は自分のイギリスの口座に自分の貯金がありそれが頭金の大部分だったのですが、

実は購入が決まる数か月前、家を買うことを両親に話したところ、そういえば就職のお祝いもしてなかったし、今更だけど就職祝いってことで頭金に使ってよと少しお金をもらいました。

これがもちろんとっても嬉しかったし有難かったのですが、実は海外の家族からお金を受け取り頭金の一部にすると、

マネーローンダリング対策でその資金の出所を証明する必要があります。

自分の日本の口座から移した場合だと直近3か月、それ以外だと6か月以内に受け取った資金を全て証明する必要があります。

マネーローンダリング(資金洗浄)というのは簡単に言うとマフィアなどが違法に稼いだお金の出所を分かりづらくするために、海外に送金して、不動産購入費などに使い資金を保管するということです。

そういうことに使われてませんよ、というのを証明するため、お金を送った人が合法的に得た収入である証拠を提出します。

私の場合は父の口座からの送金だったので、父の給料を受け取っている銀行口座の明細半年分が必要でした。

しかし最初はこれを日本語の明細なので翻訳会社に依頼したりしないといけないのかなと心配しましたが日本語のままで問題ないと言われたので、日本語のままで提出しました。和暦であることも説明しましたがそれも大丈夫と言われました。

この辺の細かい疑問もFirst Mortgageなどアドバイザーがいれば聞くことができるので安心です。

ここで問題だったのがこの口座の明細なのですが、イギリスならこういう書類はオンラインアカウントで簡単にPDFでダウンロードできます。

しかしなぜか日本の父が使っていた銀行ではできず、銀行で銀行印つきの書類4か月分と、さらになぜか直近2か月はオンラインでしか受け取れないということで、少しバラバラになりましたがそれで提出し無事審査に通りました。

この日本の銀行の書類が色々意味が分からず、イギリスから銀行に問い合わせるのも大変だし、書類は全部本人しか受け取れないとのことで仕事中の父に有休をとってもらい平日に取りに行ってもらうハメになりました。

しかもこの銀行がくれた明細というのがなぜか薄い色の青字で、スキャンがとても難しかったのです…。

このように色々な手間が重なり、正直就職祝いは嬉しかったのですが、家の購入後も家具などお金がかかったので後で受け取って他のことに使えば良かったなと思いました。

なのでこれから購入される方で、家族が支援してくれる場合などは、それがないと買えないような大きな金額でない限り少し考えた方がいいかもしれません。

 

その他の書類

他にも住宅ローン申請に色々必要な書類がありました。

①まずは自分の銀行の明細書、これはイギリスの口座なら普通オンラインでPDFをダウンロードできます。

②収入の証明。私のように会社員の場合は会社の給料明細3か月分を提出します。これも私の場合はオンラインのアカウントからPDFでダウンロードしました。

③パスポートとBPRカードのスキャン、パスポートなどの身分証明書と、外国人の場合はビザの証明も必要です。

④提供資金の証明。前途の通り、頭金の支援を受けた場合は、その口座の明細も必要になります。

⑤提供資金レター。④の受け取った資金が借りたお金ではなく贈与されたものであることを証明するために手紙が必要です。これはFirst Mortgageのソリシターが下書きを書いてくれたので、父のサインをもらって提出しました。他にもオンラインでもレターの例があると思います。

⑥ホームレポート。購入したい物件のホームレポート。スコットランドの場合は見学の際にもらえるホームレポートがあるのでそれを提出します。

 

ローンの審査

あとはこれを私の場合はアドバイザーに送って、アドバイザーに銀行に送るローン審査料を払って終わりでした。一部スキャンが読みづらいのでしなおしてくれとか、足りない書類があれば教えてくれたりします。

それから3日ほどですぐに審査に通った連絡が来ました。Eメールと郵送の両方で住宅ローンの細かい規約などが書かれた書類が送られてきて、同意書にサインをします。

この時点では落札が決まっただけで、まだ家を買っていない状態なのでローンはオファーを受け取っただけで、実際の借入はまだです。

実際の購入手続きが行われると、そこで実際の借入となり返済が始まります。

なので私の場合ローンの審査に通ったのが5月で、購入手続き及び入居予定が8月、ローンの開始日許可は9月末までとなっていました。

もし万が一この段階で家の購入がなしになった場合、このローンの審査料は無駄になります。

なのでここからはとにかくローンの審査料も惜しいし、またふりだしに戻って家探しをするのは嫌なので絶対家の鍵を受け取れますようにと祈っていました。

ここまで来て購入がなしになるということは滅多にないと思いますが、やはり鍵を実際に受け取るまではなかなか安心できませんでした。

 

家の保険と収入保険

このローンの審査書類をそろえる際にFirst Mortgageのアドバイザーから保険も紹介してもらいました。

住宅保険はローンを受け取るのに必須なので紹介してもらったのも大手で最安のプランっぽかったのでそれを選びました。

収入保険はオプションですが、私はイギリスに他に家族もいませんし大きな貯金があるわけでもないのでしばらくは収入保険をつけることにしました。

これは病気などで収入が途切れた場合に生活費やローンの返済費を受け取れる保険です。

この辺はFirst Mortgageを通して申し込めばローンの審査に必要な書類は一緒に提出してもらえます。

 

Standard Security

ローンの審査に通って、実際の購入手続きが行われる間にStandard Securityという書類の提出がありました。

これはローンを受け取るのに必要な書類で、万が一ローンの支払いに失敗した場合、家の権利が銀行に移ることに同意する書類です。

イギリスでは中古の家が人気があるので家の価格が落ちずむしろ上がり続ける傾向にあるということは何度か書きましたが、

そのため銀行はローンの支払いが滞っても家の権利を得ることができるので銀行にとってイギリスの住宅ローンはリスクが少ないビジネスなわけです。

そしてこのStandard SecurityにはWitness(証人)が必要です。

イギリスではよく書類に証人を求められます。これはローンの保証人ではありません。

ただ書類に書いた情報が正しい、本人であるということを保証するものです。

ローンの保証人というのは求められませんでした。まぁローンの支払いを怠ったら家を銀行が持っていくだけですからね。

この証人は一緒に暮らすパートナーなどはなれないので、家族や友人がいいでしょう。

私は近所に住んでいる同僚に頼みました。

 

 

 

家の購入手続き

そこからソリシターからも音沙汰なし、入居日も分からないまま不安な二か月ほど。

グーグルマップでソリシターの評判を見てみたところ私と同じように購入決定から実際の決算までの間音沙汰なしで怒っている人達がいっぱいいました…。

もっとマメなソリシターならこまめに状況などシェアしてくれるのかもしれませんが…。

実際こっちは初めて家を買う方で、大きな金額を払うのですし正直めっちゃ不安でした。

ソリシターからすれば毎日沢山処理する購入手続きのうちのひとつにすぎないのでしょうけど…。

そしてついに入居日が決まったとソリシターから連絡がありました。

しかしここから色々用語が分からず混乱したところが多かったので他の人のためにも書いていきます。

MissiveがConcluded(締結された)とまず連絡がありました。これがスコットランドでは法的拘束力のある家の売買契約のことです。これがConcludedの時点でもう家は買えると思っていいでしょう。

次にState of Settlementと入居日のお知らせが来ました。State of Settlementは家の購入費用の正式な見積もりです。落札した時に同意した金額(自分が払うのは頭金、残りはローン)と、ソリシターの費用、購入時に一緒に払う税金の分も一緒に送られてきます。

これを家のSettlementの日(決算/実際の売買)、つまりソリシターが売り手のソリシターに送金し私が鍵を受け取る日の前日までに、ソリシターの会社の口座に送ります。

このMissive concludedのお知らせと、State of Settlementが送られてきたのがSettlementの三週間前くらいでした。

State of Settlementに書かれた頭金とソリシターや税金の費用をソリシターに送ったら、銀行からのローンの実際の借入も行われて、ソリシターから家の購入額全額が売り手のソリシターに払われて、それが売り手に払われるというわけです。

 

 

頭金の送金

この頭金等のお金はこの三週間のうちいつ送ってもいいのですが、一般的には数日前くらいに送るみたいです。

私も何か送金のトラブルがあったら嫌だから前日は避けようと思い、数日前に送りました。

そして送る際に発覚したのですがオンラインで送れる金額には限度があり、一日に一定の金額までしか送れません。

全額一気に送ることはできないと発覚したので銀行に問い合わせたところ、銀行の支店に行けば全額一気に送れるとのことでした。

しかしコロナ禍で可能な限り人には会いたくなかったし、正直支店に行くのは面倒だし、日数も毎日限度額まで送れば決算日に間に合うので分けて送ることにしました。

ソリシター側にも先に分けて送りますと連絡を入れました。皆そうするから全然大丈夫だよと言われました。

というわけで私は頭金は数日に分けて、結局全額送れたのは決算日前日となりました。

 

最終訪問

実は私はこの送金の直前に一度購入したフラットの最終確認の訪問をしました。

これは結構皆やってるみたいです。

4月に見学をして落札して、入居が8月なわけで、その間に住んでいる売り手が家を破壊していたり、何かが大きく変わったりしていては困ります。

それから引っ越しをする前に細かい寸法など図りたいなと思っていたので。本当はもう少し前に訪問したかったのですがソリシターが全然連絡をくれないし、その時期になりました。

訪問した時は全然何も問題なく、寸法を測らせてもらって、前のオーナーとも少し話すことができてとても良かったです。

この時に実はまだ次の家が結局決まってなくてとりあえず友達の家に引っ越すんだという話を聞きました。

近所の人にあなたたちのことも伝えてあって、皆会うのを楽しみにしているよと言ってくれたり、もし何か困ったこととか私に聞きたことがあれば近所の人に言ってみて連絡先を知ってるからと言ってもらえて引っ越しの不安も解消しました。

また実は引っ越しの日までに申し込んでおいた方がいいこと(庭ゴミの収集の申請など)を教えてくれたり、ドアの工事が近くに始まることなども教えてくれました。

他にも実は向こうも私に連絡をとって色々上記のこと等伝えようとしていたらしいのですが、どっちのソリシターが止めていたのか全く連絡ができていなくてお互い呆れてしまいました。

うちに直接来てくれて良かったのに!と言ってくれました、知ってれば来たんですけどね~。

とにかく見学の時はちらっとした話せなかった売り手のオーナーと売買前に少しゆっくりと話すことができて良かったです。

 

賃貸契約の解消

Missiveが完結した時点で入居日は決まったので賃貸の大家さんに引っ越すことを伝えました。

本当は大家さんに家探しを始めた時点で言えたら良かったですけど、いつになるか分からないし内緒にしていました。

まだ当分住むつもりだよね?って聞かれたこともありましたがそのつもりと言うしかありませんでした…。実際その時点から1年くらいは住みましたし。

でも引っ越す直前にボイラーを買い替えたり、洗濯機を買い替えたり…本当に良くしてくれた大家さんだったのでなんかタイミングが悪くてごめんという感じでした。

賃貸の契約では引っ越す1か月前に伝えればオーケーだったので、引っ越すことを伝えたのが8/10、新しい家の鍵をもらったのが8/31、賃貸の契約が1か月後に切れるのが9/10で、10日は賃貸と新しい家でダブる感じでした。

でも新しい家は家具も家電もない状態なので、買って受け取らないといけないし、1日で引っ越しを全て終えるのはプレッシャーですし、ペンキを塗り替えたい部分などもあったので10日はちょうど良かったです。

インターネットの引っ越しが9/7だったので9/7から実際には引っ越しました。でも10日間は両方の家を行き来した感じです。場所も近所だったので。

 

 

決算と鍵の受け取り

さて、いよいよ決算と鍵の受け取りです。

決算はお金はもうソリシターに送ってあり、あとはソリシターが全部やってくれるので決算当日に待つだけです。

決算日の朝の時点で完了しましたとすぐ連絡が来て、何時以降相手のソリシターのところに行って鍵を受け取ってね。という感じです。

仕事の昼休憩を長めにもらって鍵を受け取りました。

受取先ではおめでとう、と一言言われて封筒に入った鍵を受け取って終わりです。何かほかに書類とかサインとかがあるわけでもなく。

とりあえずまず1人で家を見に行きました。

するとリビングの暖炉にこんなワインと手紙が!

あの優しい前オーナーからのプレゼントでした。

手紙には「私がこの家で幸せだったのと同じくらい、あなたも幸せでありますように」と書かれていました…。

ちょっと感動…!

色々あって大変だったけど、最終的には大きなトラブルもなく、完璧じゃないし小さいけど家を購入できて、こんな素敵な手紙ももらって、なんだか成し遂げた~!という気持ちになりました。

家の購入は数年前から考えていて貯金を始めて、リサーチしたり先に買った友達に色々聞いたりして、長く準備してきたことなので、こうやって鍵を受け取って正式に自分の家を手に入れたんだという喜びでいっぱいです。

その後無事に引っ越しも行って、落ち着いた頃にお気に入りのレストランのデリバリーを頼んでこのワインもあけました!

 

引っ越し

というわけで無事に鍵を受け取ったので後は引っ越しです。

引っ越しは以前も利用したMan&vanサービスを使いました。文字通り、屈強な男性とバンを雇えます。イギリスの何でも屋みたいな感じです。

ちゃんと保険に入っているところを利用しましょう。

引っ越し費用は大型家具も数点ありましたが£120でした。日本に比べたら全然安いですね!

引っ越し以外でも大きな荷物を運んでほしい時など、結構なんでもやってくれるので便利です。

段ボールはエコを意識して最初は段ボールじゃない箱をレンタルと思ったんですが、色々調べて車がないと宅配料がすごく取られるのでやめました。

結局IKEAで家具も買ったのでついでに段ボールも買いました。

https://www.ikea.com/gb/en/p/dundergubbe-moving-box-brown-10477049/

20個で£30でテープもなしで閉めれるようになっているので便利です。使った後Gumtreeで£20で売りました、すぐ売れました。

なので実質£10です。安い!

あとは各種住所の変更手続きなどがありますが、

https://www.reallymoving.com/help-and-advice/change-of-address-checklist

こういうチェックリストで確認するのがオススメです。自分で考えても忘れちゃうので。

あとは前の大家さんと仲良くしておけば万が一何か忘れて前の家に届いてしまったものがあれば教えてくれるかもしれません。

 

その他家具や家電も沢山買って、色々契約したりもしたのですが、そちらはまた長くなりそうなので別の記事でそのうち紹介します。

家を買う道のりは長いですが、イギリスで長く暮らすなら絶対に頑張った方がいいところなので皆さんもぜひ挑戦してください!