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イギリスの会社(IT企業)のエンジニアとしての労働環境の良さを紹介

イギリスのIT企業に就職してから一年が経ちました。

海外転職などを目指される方は、より良い労働環境の良さを欲して転職される方も多いと思うのですが、私もヨーロッパの労働環境の良さに惹かれて、こちらで就職したいなと思いました。

就職の経緯についてはこちらを参考にしてください。

海外就職・移住のアドバイス、大学院留学後の就職

実際に就職して、やはり思った通り、あるいは思った以上に労働環境が良いなと感じているので私の会社での例をご紹介します。

 

休暇、有給事情

ヨーロッパの労働環境で一番有名なのはたっぷりのホリデーです。

イギリスの私の会社の例だと有給は初年度が22日で、そこから毎年一日ずつ増えていきます。

有給が取れないというのはありえないですし、有給は遊びにいくためのものなので理由などはいりませんし、ホリデー申請書にも「あなたの希望が通るように会社は最大限の努力をします」と書いてあって、実際にその通りにしてくれます。

うちの会社の場合は一度に取れる有給は最大二週間なのですが、他のイギリス人からしたらそれも可哀想なレベルらしいです。一か月くらい取ったっていいじゃんねって言われます。私は十分多いと思うんですけどね…。

ただしイギリスは祝日が日本の半分の8日なのでトータルでは少し多いくらいですが、自由に選べて計画できる有給の方が便利ですね。

ちなみに私も、祝日と組み合わせてホリデーを計画し、今年は4月に二週間半日本に帰り、9月にギリシャと10月にスイスへ一週間ずつ、そして12月から1月までまた二週間日本に帰るという感じです。

新卒一年目ですが、このようなホリデーの取り方は当たり前で、誰も止めないし嫌な顔もしないどころか、「日本に帰るのに二週間なんて少ないよね、社長に掛け合ってみれば??」って言ってくれてます。

残業

毎日の生活の中では有給より気になる残業。

私の会社では今まで一年間働いて、一度たりとも残業したことはありません。10分だってしてません。している同僚もほとんど見たことがありません。

一度だけチームで緊急のエラー処理があって同僚が対応したんですけど、その分彼は次の週毎日早く帰ってました。

なので契約上の7.5時間(私の場合)は厳密に守られます。

むしろ皆時間が短い方に緩くて、ちょっと遅めに来て、ちょっと早めに帰る…。

うちの会社ではタイムカードなどもないので、皆だいたいです。もちろんだいたいなので皆やや短めに働いているのを私は知っています…。

定時の15分位前になるとトイレに行ったり自転車に乗るため着替えたり…。皆そんな感じですね。

イギリスの日系企業で働く日本人の知り合いによれば、そういうとこでも日本人だけは残業しちゃったりするらしいですが……。

病欠

たっぷりの有給の他に、イギリスでは病欠制度があります。うちの会社は年間10日までの病欠がついて、10日までなら理由に関わらずお給料が出ます。

この病欠には医師の診断書なども何も必要なくて、朝に体調が悪いのでと電話すればOK。

これはずる休みをする人も絶対に出てくる制度ですが、人間どうしても休みたい時ってあると思います。それを大人なんだから我慢しなさい、で済まさず、どうしても休みたい時は仕方ないって言えるのが社会の余裕で、労働者の精神的健康を守る方法ではないでしょうか。

実際にはずる休みしてないかチェックする機関があるとかないとか言いますが…。

でも休暇明けに病気になる人が続出するんですよねw 休暇明け病欠とジョークを言ってますが、皆まぁホリデーで飛行機とか乗って疲れるもんねーなんて言って許容してます。

メイクアップ(埋め合わせ)

これはうちの会社の制度になりますが、例えば平日に何か手続きなどに行きたい時に、事前に多く働ければ出社・退勤時間をずらせるという制度です。

イギリスの労働環境の良さを褒める時に考えたいのが、皆が短い勤務時間で働くということは、公務員や銀行員、ガス会社なども例外でないので、自分が客の立場に立った時にも営業時間が短いという不便さがあることです。

家にガスの点検に来るけど時間が平日の11時とか、歯医者の予約が平日しか取れないとか日常茶飯事です。

そこでこのような埋め合わせ制度のある会社があって、それでなんとかなります。

一応この埋め合わせ制度は有給とは違うので、理由がないといけないんですが、まぁそこも分かりませんね。

でも有給のための飛行機に乗る用に早く退勤するとかいうこともあるのでそれなりに緩いです。

日本で24時間営業のお店の是非などが問われていますが、確かに消費者としてはそれで不便になっても、社会がそれに適当すると思います。

その時間しか空いてないなら仕方ない、となります。

そういう妥協や適応が良い労働環境づくりには必要なのかな、と思いました。

子連れ出勤

もう一つイギリスで働き始めてからびっくりしたのが、イギリスの会社が子育てへのサポートにとても積極的だということです。

例えばうちの会社だと必要であれば子連れ出勤が可能です。もちろん迷惑をかけたらダメですけど、部長のお子さんも最近週に2-3回はいて空いてるデスクに座って、勉強とかしています。

イギリスは共働き家庭が多いので、ベビーシッターの需要がとても高くて、見つからないということがあります。他にも急な予定の変更があったり、色々な事情があると思いますが、ちょっとした時にこのような臨機応変な対応があるのは、労働者としてのストレスを大いに軽減させるでしょう。

給料

これだけ労働環境がいいと、お給料はどうなんだ、日本は皆が頑張ってるぶん経済力があるから…とも言いますが、

国全体のGDPでは上位に来る日本も、国連の発表している世界の一人あたりのGDPの比較では、イギリスと日本は大きな差はなく、イギリスの方がランキングでは一つ上です。

人口自体は日本の方がずっと多いので、国全体のGDPでは日本は世界でも上位に並びますが、国全体のGDPは国民一人一人の生活の豊かさを直接は表していません。

国民個人の生活では日本とイギリスでは大きな差がない状態ではないでしょうか。それどころか、実際にもらう給料ではイギリスの方が上をいっています。

厚生労働省の発表する学歴別初任給の比較によると、日本の大学院修士卒の2012年の平均初任給は199.6千円。約20万円を切る位です。

イギリスの場合はThe Guardianの予測する2016年の平均給与額は年収で£26,500、12か月で割ると約£2200(約30万円)です。実際に私のイギリスでの初任給もそれくらいでした。私の場合はボーナスは契約上年収に入っていますが、営業職などの場合は別でつくこともあります。

このように、給与水準で見ても、物価は日本よりやや高いとは言え、働かない分貧乏ということは全くありません。

むしろ、効率の良い労働、プライベートが保障された充実した生活が生むクリエイティビティ、集中力、健康などから来る経済的恩恵も無視できないのではないでしょうか。

ただ、フリーター・パートタイム職を見てみると、イギリスでの最低時給は日本と変わりませんし、むしろそのような仕事はイギリスでは人手過多でアルバイトでも日本ほど簡単に見つけることはできません。そこはイギリスも次に考えるべきところかもしれませんね。

労働者の責任

このようなゆとりのある労働環境の実現は簡単ではありません。しかしそれでもうちの会社ではこのような制度がきちんと機能していて、会社も中小ITでありながら15周年を迎え、ビジネスが成り立っています。

もちろん社員を信用してできている部分も沢山あるので、労働者一人一人も責任を持ち、ルールを尊重し働くのが前提です。

ズルをしようと思えばいくらでもできる制度はありますが、小さなことは許容しつつも、全体としての仕組みを尊重する空気はありますし、何より成果を上げたいという気持ちが働いてる皆に感じられるので、きちんと働くことができていると思います。

このような労働環境の実現には、会社と労働者両者の意識が大切だと思っています。

 

日本が学べること

今回ご紹介した例は、私の勤める会社での一例でしかありませんが、イギリスの他の企業で働く友人達を見ても、うちが特別良いというわけではなく、むしろどちらかと言えば大手などの比べればまだまだ制約が多くて、もっと良い労働環境を求めることはできるな、と感じています。

ヨーロッパで働く私の知っている数人だけでも、

  • 特別契約で年間3か月の休暇(めちゃめちゃ給料高い)
  • 一日6時間労働、個室のオフィスあり
  • 夏に2か月、冬に2週間の休暇
  • 二か月に一度休日出勤のシフトがあるが、代休が取れるし、タクシー代がつく
  • 学位を取るため5年間仕事を離れても籍がある
  • 交渉の結果週4勤務になった

正社員としてでも、ここまで様々な働き方を追及することができています。

私も今は仕事を始めたばかりですが、キャリアを積み重ねていく上で自分に合った働き方を見つけたいと思っていますし、イギリスでならそれも可能だと感じています。

イギリスでは日本に比べて実力主義だと言って、スキルがないとなかなか就職できませんが、逆にそのような競争があるからこそ、様々な働き方が生まれて、企業側も良い労働者を確保するために色々な取り組みをするのではないでしょうか。

教育の文化など、日本での雇用制度にも沢山の良いところがありますが、私はイギリスのゆとりある労働環境に、日本は学ぶところが沢山あると思います。

 

やはり毎日の大きな部分を占める労働が無理なく、ゆとりを持って行えることは、残りの時間のクオリティも上げてくれます。平日でも沢山遊ぼうと思えるし、週末やホリデーには色々な計画をたてられます。

これ以上の良い労働環境について考えることもありますが、今のところは現状で幸せな毎日で、こんな日がずっと続けばいいなと思えているので、やっぱり挫折や苦労もありましたが、イギリスに就職して良かったなと思っています。

自分の生まれた国、日本でも同じように働ければよいなと思っていますし、誰もがこんな毎日が続けばいいなと思える社会になってほしいです。

労働環境の改善は簡単なことではありませんが、まずは海外のことを知る機会の少ない日本でも、ヨーロッパなど世界の良い労働環境について知識だけでも手に入れて、「皆頑張っているんだから我慢しないと」というようなことがなくなってほしいです。

良い労働環境は労働者一人一人が作るもの。今日本でも労働環境の改善が騒がれているので、この機会に日本も変わりますように。

 

以上、イギリスの私の会社の労働環境についてのご紹介でした。日本でもこのような企業が増えるといいですね。

 

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  1. ゆかり

    質問なのですがこれらは海外の優秀な人の例ではなくでしょうか?
    日本人で海外で勤務される方は優秀な方が多いからそういう高待遇が得られるのとはないかと思ってしまうのですがいかがでしょうか
    日本では大企業や有名企業も労働時間が長いので考えかたが違うのはわかるのですが
    例えば海外の一般より下の中小や零細企業、仕事が出来ない人、言語の問題で交渉がうまくできない外国人などは日本同様の劣悪な環境下で生活せざるをえない状況はないのでしょうか?

  2.  高田修三

    初めまして、日本の労働環境の劣悪さにうんざりしている者です。
    これからもどんどん日本の労働環境のおかしいところを指摘してください
    お願いします。
    一人でも日本の労働環境のおかしさに気づいてくれる人が増えて欲しいです

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