2019年10月6日よりイギリスの就労ビザの規定が緩和されました。

このビザ規定の緩和により私のビザ更新申請は今回少し楽になりました。

ビザの更新は一回目のビザ申請と基本的に同じなので、Tier 2ビザ全般について書きたいと思います。

ただしここに書いてあるのは私が知りうる範囲の、2020年2月時点の情報なので実際の申請の際は公式の情報をきちんと確認してください。ビザの規定は日々変わっています!

人材不足職業リストについて

緩和されたのは今まで非常に限られた職業しかカバーしていなかった人材不足職業リスト(Shortage Occupation List)にさらに多くの職業がカバーされたことです。

こちらのStevens Botonによれば、今まで全体の1%の職業しかカバーされていなかったのが、今回から9%の職業がカバーされるようになったそうです。

WorkPermit.comで人材不足職業リストが観られます。あるいは政府の公式ページからもダウンロードできます。

以下が今回増えた職業です。ただしこの職業に当てはまればなんでもというものと、一部というがあるので、この職業に当てはまる方はさらにその中でその分野が当てはまるのかを調べねばなりません。例えばダンサーはクラシックバレーダンサーに限定されています。一方理系はほとんどの職業で全ての分野がカバーされました。

生物科学者、生物化学者、物理化学者、土木技術者、機械技術者、電気技術者、電子技術者、設計開発技術者、生産工程技術者、その他技術専門職、ITビジネスアナリスト、ITアーキテクト、ITシステム設計者、プログラマー、ソフトウェア開発専門職、Webデザイン専門職、Web開発専門職、情報通信専門職、医師、精神科医、獣医師、医療放射線技師、理学療法士、言語聴覚療法士、看護師、中等教育専門職、アクチュアリー、エコノミスト、統計学者、建築家、数量測量士、ソーシャルワーカー、品質管理・計画エンジニア、救急隊員、芸術家、ダンサー、振付師、音楽家、アートオフィサー、アートディレクター、グラフィックデザイナー、溶接技師、シェフ

スコットランドではさらに以下の職業が人材不足職業と定義されています。

化学者、生産工程技師、中等教育専門職、初等教育専門職、幼児教育専門職

 

人材不足職業のメリット

この人材不足職業リストに載っている職業でビザを取るとこのような利点であります。

  • 労働市場テストを行わなくて良い
  • ビザの申請費が安くなる
  • 永住権を取得する時の年収条件がない
  • 年間の取得者上限がなくなる

この四点です。

労働市場テスト

労働市場テスト (resident labour market test) というのは、外国人はイギリス人の職を奪ってはいけない、ということで、もしこの人材不足職業リストに当てはまらない職業でビザを取るなら、イギリス人が働けない職業であると証明しなくてはいけないということです。そのために求人広告を一か月決まったメディアにだし、イギリス人が誰も応募してこなければビザの申請ができます。

例えばその国の出身者でないとできない言語や文化理解などが必要となる職業です。

あるいは弁護士などを雇ってこの条件にテストなしで当てはまると申請してもらう方法もあります。(私はその方法を取りました)

ビザ申請費

ビザの申請費も普通の申請費の£704から値下げされて£464になります。イギリスのビザの申請費は高いのでこれは助かりますね。申請費にはこの他に健康保険料がかかります。

私はなんと申請時に自分の申請職業が人材不足職業リストに加えられたことに気付かず、そのまま普通の料金を払ってしまいました。返金のお願いをする手紙を申請フォームにつけましたがまだ返ってきていません…。結果に影響はありませんでしたが差額の£250も安くないので、返ってくるといいなと思っています…。

永住権取得の際の年収

これはまだ申請していないので現時点で、ですが、現在イギリスでは、人材不足職業リストに入っていない通常の職業、でビザを申請する場合、年収が£35,000以上(約500万円)必要でした。この年収基準は毎年上がっています。これはロンドンならまだしも、その他の都市では結構厳しい年収です。

しかし人材不足職業リストに載っている職業に就いている人であればこの年収基準に届いていなくても永住権の取得ができるようになります。

ただしTier 2就労ビザの最低年収額が2020年2月現在で£30,000なのでこれにはどちらにしろ届いている必要があり、職業ごとにさらに最低年収が違うので、それ以上が必須になります。また、その職業ごとの年収基準は初回申請時と更新時でも違います。更新時ではより高い年収基準が設けられています。

実はこの年収基準はフルタイム39時間の計算で行われるので、就労時間がこれより短い場合にはその分割って減らすことができます。

年間申請数の上限の取り消し

これも嬉しいことですが、今までは年間のビザ申請数というのが決められていて(約二万件)、それ以上の申請があるとその後は申請点の少ない人から拒否されるというのがありました。今回からこのキャップがなくなりました。

 

なぜビザの規定が緩和されたか

まず、イギリス前首相のテレサ・メイは移民保守派だったので、メイ政権時代には様々な移民規制が行われました。

例えばメイ政権以前はイギリス大学院卒業後に就労ビザが下りましたが、それはなくなりました。それがまた今回ボリス・ジョンソン政権となり、卒業後就労ビザが復活しました。

そして今回EU離脱が実現し、今後EU移民が減っていく見通しなので、その代わりにEU外の技術者をイギリスに呼ぶことにしたわけです。アメリカも似たような政策を行っていますが、ボリス・ジョンソンはトランプ大統領の友人だそうですし、納得です。

他にもこれからは移民は人種ではなく能力で選んでいくと公言しており、年収の規定もEU市民の規定に合わせて下げられたり、他のポイントが稼げればそれで代わりになるようになる可能性もあります。

ボリス・ジョンソンの人柄は好きではありませんが、移民である私としてはビザ規定の緩和は嬉しいところです。

 

前回のビザ申請との変更点について

今回私はビザの更新という形でしたが、人材不足職業リストに私の職業が加えられたこと以外では、三年前の申請と基本的にはプロセスは同じでした。

しかし細部では違うところもありました。

  • 必要書類が減った
  • パスポートなどの原本を郵送しなくなった
  • 申請場所が増えた

必要書類が減った

これが一番うれしかったです。

前回では銀行の残高証明とか、色々必要なものがありましたが、今回はパスポートとBRPカードのみでした。銀行などの残高証明もオプションでつけることもできます。申請に不安がある人はできる限りの書類を出してもいいかもしれません。私は必須のパスポートとBRPカード、あと会社の弁護士が書いたサポートレターの三点を提出しました。

あと過去の渡航歴とか、今までの住所とか煩わしい入力項目もなくなっていました。特に渡航歴は旅行が多いので全ての日付など確認するのが大変だったのでなくなって嬉しいです。

申請ページも何年も前は入力文字数が足りなくなったりなんてこもありましたが今はそんなこともなくなりました。

原本を郵送しなくなった

以前はビザ申請の際にはパスポート原本を郵送するというドキドキの申請方法でしたが、今回はスキャンの提出と、その後アポイントメントに行き原本をその場でまた見せてスキャン、のみでした。なのでパスポートはずっと持っていられます。

申請場所が増えた

上記の通り、郵送ではなく対人で原本を見せる形になったので、委託業者の申請場所が増えました。私の暮らす街には以前はビザセンターなどありませんでしたが今回からできたみたいで、そこに行きました。仕事の前にさっと行けるので良かったです。

以前は会社に言われて提出書類にミスなどあるとよくないから、ホームオフィスの人に直接その場で確認してもらえる有料の優先サービスを利用するよう言われていましたが、今回はパスポートとカードだけなので普通のサービスでいいよねということになりました。

うちはビザの申請費は自費なので助かりました…。優先サービスは£800くらいするので…。

申請結果が出るまでの日数

今回私が申請してから結果を受け取るまでにかかった日数は13日でした。約二週間です。

優先サービスを利用しない場合最大二か月程度かかると申請ページには書いてありますが、直前に申請した同僚も10日ほどで結果が出たのでそれもあって私は通常サービスにしました。

審査の提出書類や審査項目なども簡素化されているように感じるので、その分も早くなってきているのかもしれません。

ただ今後永住権を申請する時には、通常サービスだと最大半年かかると聞いているので迷います。ネットで調べると一か月で結果が出る人などもいるようですが、今後EU市民のビザ申請なども本格的に始まると思うと迷います。

半年ドキドキしながら旅行もせず待つのはかなり辛いですよね。

 

ともかく、無事にビザが取れて良かったです!ビザの申請後にはBRPカードはホームオフィスに郵送で返却します。忘れると罰金があるそうなので皆さんも気を付けてくださいね。

ここに書いてある情報は参考程度に、規定も日々変わるので実際の申請の際には自分で公式サイトをきちんと読んで、不明点は弁護士などに相談してください