イギリスでは18歳以下は未成年としてお酒が買えません。
しかし、イギリスでは、それだけではなく、25歳以下の場合は身分証明書、IDを見せないとお酒が買えないということになっています。
私はかなりお酒が好きで、ほぼ毎日宅飲みしているので、仕事帰りには、帰り道のスーパーでワインやウィスキーを買うのが日課です。しかしその度に26歳にもなって毎度IDをチェックされるのでびっくりするんですが、アジア人が若く見えるというだけではなくて、イギリスのお酒に対する厳しい文化が関係しているようです。
日本でも最近はコンビニなどで、お酒を買う際にはタッチ画面で自分が未成でないことを宣言するようになっていたりしますね。でもまぁちょっとした確認程度です。
イギリスではこのチェックがとても厳しくなっていて、18歳以下に確実にお酒を売らないようにするためにある25歳以下のIDチェックの25歳さえも、非常にシビアに判断されます。
25歳かどうか怪しかったらとにかく見せろを要求する。
アルコール中毒問題
なぜそこまで厳しいかと言うと、アルコール中毒などの深刻な社会問題への意識がまずあるでしょう。
Wikipediaによれば、イギリスの人口あたりのアルコール中毒患者数は世界第25位。上位はお酒がないとやってられなさそうな寒い国、旧ソ連、東欧が占めていますが、日本は71位なので、イギリスでお酒の販売が日本よりずっと厳しくなるのは当然ですね。
未成年へのお酒販売に対する罰金
こういう事情があるので、実はイギリスではお酒を未成年に販売すると、販売した本人が罰せられます。イギリス政府のWebサイトによればその額なんと最高£5,000 (約70万円)。さらに、継続して販売した場合(2か月に3回以上)には£20,000(約300万円)の罰金が課せられます。なのでチェックする方もそれはそれは厳しく、一応でもなんでもチェックしてきます。
またお店側も未成年にお酒を売ったことが発覚すると、アルコール販売の免許を取り上げられてしまいます。アルコールが販売できなくてお金のある大人達のショッピング意欲が削がれたら大変です。なのでレジの店員さん達も、お店側も非常に慎重にIDをチェックします。バーの入り口などにもIDをチェックする人が立っていて、入る人を止めてはチェックしています。1人でチェックして自信がなければ複数人でもチェックします。以前は私のIDが外国人用でヨーロッパ仕様じゃなかったので本物かどうかとかで店長まで出てきて三人がかりで確認されました…。
アルコール商品のラベル表示
イギリスでは厳格な年齢確認の他にもアルコール中毒対策がなされています。イギリスで販売されているアルコール類にはこのようなラベルが貼ってあります。
妊娠している人は飲むな、というのが絵付きで表示されている他に、アルコール度数に応じて、一日に推奨される飲用量が男女別に書かれています。もちろんこの量を毎日飲むと良いということではなく、アルコール中毒になってしまう目安として、警告がされているということです。
全ての商品に貼られているわけではないのですが、ほとんどのボトルには書かれています。
このようにアルコール中毒の恐ろしさを社会的に受け止めて対策をしています。
その他のイギリスのアルコール中毒対策
イギリスではアルコール度数が高い飲み物は社会的に不利益になるとして、アルコール度数に応じて税率が高くなっていますね。例えばウィスキーはアルコール度数40度以上なので、35度に抑えた廉価版のウィスキーリキュールが人気があります。
またイギリス北部のスコットランド地方では夜10時以降のお酒の販売が一切禁止されています。5分でも過ぎたらマジでもう買えません。パブでは飲めますけど。
イギリス公訴局によれば、既に酔っている人へのお酒の販売も法律で禁じられていて、罰金になります。
各国のアルコール販売規制
アルコール中毒者増加防止策は行っているものの、イギリスでは各スーパーが人気のアルコール類はよく目玉セールをやって、集客に繋げていて、パブの多い国だけあって社会的にお酒自体が悪い物という考えはありません。しかし他にもアル中問題の多いヨーロッパ諸国では例えばアルコールのセールが一切禁止だったり、お酒のCMは禁止だったり、お酒がIDがないと入店もできない専門店でしか買えなかったりより強固な対策がされています。例えばアルコール規制の非常に厳しいスウェーデンは上記の全てが行われていて、社会的に積極的なアルコール摂取の非推奨が行われているようです。(参照Wikipedia)
イギリスでは社会問題に対する対策は挑戦的にどんどん行っていくので、セールももしかしたらそのうち禁止になるかもしれませんね。
そういうわけで、イギリスでは、お酒はきちんと責任を持って飲める(はずの)大人にしか売らないということで、疑わしければとりあえず聞けという感じなので、バンバンIDの提示が求められます。
なのでイギリスでは若く見られるな~と舞い上がるのはほどほどにして、ヨーロッパのアル中問題を真剣に鑑みて、お店に協力するのが大事ですね。日本でも今のように未成年でも簡単にお酒が手に入ってしまう状況を放っておいてよいのでしょうか。そこを疑問に感じるようになりました。
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