(この情報は2018年6月の情報です)

GPシステムとは

イギリスでは医療サービスに”GPシステム”というものを採用しています。

これは、かかりつけ医制度で、病気や怪我をした時、GP (General Practice) と呼ばれる総合かかりつけ医にまず診てもらい、必要であれば大きな病院 (Hospital) や専門医にアポイントメントを取れるというシステムです。

イギリスでは医療費が原則無料で、薬も基本的なものなら無料でもらえます。この国民医療サービスはNHS (National Health Service)と呼ばれています。

 

NHSのファイナンシャル事情

外国人はビザと一緒に月3000円ほどの加入費がかかり、また収入のある人は国民保険NI (National Insurance)の費用の一部として所得税と一緒に取られます。

National Insuranceは国民総合保険のようなもので、イギリスで仕事をする場合この保険への加入が義務付けられていて、収入の12%がこの保険料として引かれますが、NHS、年金、失業保険、育児休暇費用などの一部がNational Insuranceから出資されています。さらに詳しい情報はイギリス政府のホームページNational Insuranceのページにあります。

The Kings Fundによると、2017年、98.8%のNHSのコストは税金とNational Insurance、残りの1.2%が患者の支払によって賄われています。

上記の通り、一部NHSがあっても治療にお金がかかる場合がありますが、それは特別な治療を希望する場合や、歯の治療費などです。また美容目的の治療なども無料にはなりません。

 

GPの登録・仮登録の仕方

GPシステムは、登録制なので、住んでいる地区ごとに患者枠の空いているGPを探して登録し、そのGPに診てもらいます。

地区ごとのGPはイギリスNHSのホームページで探すことができます。今滞在している場所の郵便番号や都市名を入れて近いGPを探します。

あまり知られていませんが、実はこの患者登録は、長期在留者でなくても仮登録ができるんです。

GPには患者枠に制限があるので、どのGPでも仮登録や本登録ができるとは限りませんが、電話するか直接行って、”Temporal patient”(仮患者)として登録したいと伝えればイギリスに正式な住所がなくても登録ができます。

仮登録をした場合ドクターに会うにはアポイントメントを取らなくてはいけないので、実際にドクターに会うまでには時間がかかりますが、緊急の場合にはその場で待って診てもらうことも可能です。

どちらにしろ急患の場合であれば、救急車を呼ばなくても病院へ行けば24時間の急患窓口があり、旅行者などでも無料で診てもらえます。

 

GPシステムの意義

イギリスでいう”病院” (Hospital) はGPとは別で、大型の専門医療機関のようなところです。なので病院へ行くのはより深刻な場合です。

急患でなくて、何か相談したいことがある、何かの検査を受けたい、軽度の怪我や病気の治療がしたいという場合にはGPへの登録なり仮登録なりして診てもらう方がイギリスのシステム上は良いでしょう。

この急患はHospital、それ以外はGPに分けるシステムが無料のNHSを支える大事な要素の一つになっているので、無意味にHospitalに行くのは避けた方が良いと思います。GPでも簡単な医療設備があり、薬の処方箋ももらうことができます。GPが治療できるものはGPが行い、無意味な検査や治療を避け専門医や高額な医療設備による治療をより効率よく行うためのシステムです。

さらに詳しい説明はNHSホームページの患者仮登録の仕方のページにあります。