もうすぐ日本でも公開される「アリー/ スター誕生」。スター誕生の4度目のリメイク作品ですが、ヒロンを演じるのがレディーガガということでとても話題になっています。

イギリスでは先に公開されているので、さっそく見てきました。イギリスでは10月の初めにすでに公開されていて、もう一ヶ月以上たっているので、劇場はそんなに混み合っていませんでした。席は半分も埋まってなかったと思います。

というわけで今回はこの映画の感想を書きますが、これから見る方にも配慮するので、物語については最低限触れる程度で進めていきます。でもある程度は内容に触れながら書くので、何も知らずに見たいという方は気をつけてください。

ちなみに私は古い方の映画は一度も見たことがないので、全く新しい映画としてこれを見ました。

 

この映画について

レディーガガ演じるヒロインのアリーが、ブラッドリー・クーパー演じるロックスターのジャックの手助けでスターへと変身していく物語。アリーが成功し輝くキャリアを歩んでいく様子と、ジャックがアルコール・ドラッグ中毒で落ちぶれていくその対比、そしてその二人がそれでも愛し合う関係がなんとも切なくて美しいです。

物語自体は、4度もリメイクされている映画なので、もちろん面白いですし、いわばクラシックな内容ですが、この作品では主人公二人の職業が歌手になっているので、映画自体は歌がふんだんに盛り込まれたミュージカル仕様です。

 

歌について

内容が歌手の話なので、二人が突然歌い出す演出もそこまで現実離れした感じではありませんが、それでもそれなりに突然夜中のスーパーの駐車場で歌いだしたりするので、それを演出として楽しめない人にはちょっと変な感じがするかもしれません。

歌は当然大スターのレディーガガ本人が歌っているので、文句なしですが、物語としては無名の歌手であったアリーがジャックに才能を見出されるという内容で、最初からアリーの歌唱力はとても力強く、なんというか素人感が少ないというか、でもそれがスターとなる説得力にもなっているのかもしれません。

こういう物語だとヒロインがピュアで純粋なイメージの歌声とか持っているのとかありがちですが、それだと何かいかにも男の力で成り上がった感が出てしまいますし、レディーガガの力強い洗練された歌声がアリーのキャリアの成功を納得できるものにしているような気がします。

 

場面切り替わりの演出

重要なネタバレはなしで書いていきますが、この映画で一つ私がいい意味で気になった演出が、場面の切り替わりです。

物語が進行が場面が切り替わる時、この映画では何度も重要であろう場面が描かれず、その後日の場面だけが描かれるということがありました。

例えば具体的にアリーが何か契約を交わすとかそういうこともなく、プロデューサーからの最低限の誘いとか、ダンスのレッスンのシーンがあるだけで、その次にはいきなりテレビの撮影が行われていたり、スターへとのし上がっていく課程みたいなのはわりとシンプルに描かれていました。

二人の関係の深まりも、なんか気がついたら一緒に住んでる、みたいな感じで、場面の切り替わりがわりと曖昧に進んでいくのがなんだか印象的でした。

また他にも様々な重要なシーンでいきなり場面が飛んで、はっきりとした描写や経緯が描かれなかったりしましたが、それでも何が起きたかは分かるようになっていましたし、逆に大げさなシーンがないことで、アリーとジャックの関係性、成功と失敗という対比のテーマがわかりやすくなっているような気がしました。

似たような映画では最近だとラ・ラ・ランドで同じように男女のカップル内でのキャリア格差みたいなのが描かれましたが、あちらの方がよりスタンダードに物語をひとつひとつ描いていたと思います。

 

レディーガガについて

レディーガガの演技力、これはとってもびっくりしたところです!

実力のある歌手は表現力もありますし、それは映画での演技でも応用できることなのかもしれませんが、レディーガガが普段は歌手であるということをすっかり忘れるくらいの素晴らしい演技でした。

顔の表情などの細部まで演技で様々なことを表現していたと思います。

そしてアリーの役柄である歌手の部分では歌の部分もプロなので、とても説得力がありました。そしてもちろん歌そのものも素晴らしく、映画中ずっと楽しめました。

映画の前にサウンドトラックの宣伝が入りましたが、これは日本でも売れることでしょう。

また外見についてもごく普通の愛情があり強い女性アリーを演じていたので、ポーカーフェイスなど有名なPVでのすごい化粧のレディーガガや、生肉ドレスのレディーガガを知っている人でも、それを忘れて楽しめると思います。

一緒に行った友達は最初レディーガガは嫌いだから見ないと言っていましたが、結局一緒に見に行って、終わった後には現実世界の歌手としてのレディーガガのことは忘れていました。

 

まとめ

以上アリー/スター誕生についての感想でした。レディーガガがヒロインを演じるというところが話題性がありますが、それを抜いても映画として素晴らしい作品だったと思います。物語も、演出も、演技も歌も大変楽しむことができました。

リメイクが何度もされている作品で、オリジナルは歌手ではなく俳優・女優の物語ということなので、そちらも絶対見たいと思います!