ヨーロッパで暮らし始めるまでは、私も外国人・西洋人・白人・ヨーロッパ人みたいな漠然としたイメージで、皆英語が喋れる、インターナショナルな視点も持っている、ヨーロッパでは皆色んな国に旅行とかしていて、アクティブみたいに思っていました。

しかしヨーロッパに実際に住んでみると、私の思っていたことは偏見で、ヨーロッパ人も日本人と対して変わらないな、というのが分かってきました。

まずびっくりするのが、ヨーロッパから出たことのない人がものすごく多いことです。

だいたい自己紹介で私が日本人だと言うと、皆「へー、日本に一度は行ってみたいと思っているんだよね」って言いますが、じゃあ「アジアには行ったことがあるの?」と聞いてみると、アジアどころかヨーロッパ以外の場所に一度も行ったことがないという人が沢山います。外へ出たことがあると言ってもギリギリエジプト・モロッコが多いくらい。

結構遠くまで行ったことがある人でも、アメリカとか、西洋文化の根付いた国が多いみたいです。

そんな人たちにとって、アジアはとにかく遠くてエキゾチックな場所。

しかもヨーロッパで使われている世界地図は、日本では日本が中心のものを使っているように、ヨーロッパが中心にある世界地図になります。

こんな感じの地図です。

ヨーロッパの地理の教育はぶっちゃけ文字通り非常に自己中心的な教育なので、他の地図がこの世に存在するのも知らない人が多いです。地球は丸いのに。

なので、この地図しか見たことがなくて、この地図で生まれ育った人は、日本というのはまさに世界の端っこの小さな国というイメージが強いんです。

メルカトル法で書かれた地図だとアジアは余計小さく見えますしね。

なんとなく漠然と、日本とか、オーストラリアとかは、遠い、辺境の地って感じるみたいですね。ゲームのマップだったら最後の方に行けるようになる人里離れた…みたいな…笑

 

なのでアジアに対する理解とかもホントに少なくて、日本人の偏見にまみれた西洋人のイメージとまぁそんなに変わらないな、って感じです。

英語についても英語が話せる人が、海外に行くって話なので、現地で出会う人は日本人と同じレベルで全然話せない人がいます。ヨーロッパの中でも英語のレベルには国によって大きな差がありますが、総じて南の方に行くほど、一般人は英語が苦手みたいです。

語学的には、同じヨーロッパ言語なので、勉強しようと思えば日本人より早く習得できるだとうと思うんですけど、意外と内向きな人たちは勉強してないんですよね。

そういう人たちは、海外へ移っても自分の国のコミュニティーに収まりがちで、そうすると考え方もインターナショナルとは程遠いものになります。

例えば、世界中のどの国に行っても、自分の話す言語が世界で一番難しいと思っている人が沢山います。「方言が沢山あるし、文法は複雑だし、語彙も英語よりずっと多い、でも美しい表現も沢山素晴らしい言語だよ」って100人くらいに言われたことがあります。私は言語分析の仕事をしてるんですけど、ぶっちゃけどの言語も複雑で、人口や国土がある程度あれば方言もあるし、英語の言葉を全て知ることは不可能なのにどうして英語より語彙が多いと言ってしまうんでしょうか?

このようなセリフは流暢に話せる言語も他にないような人が言いがちです。難しい言語なんて存在しません。自分の母語から似ているか似ていないかの相対的な評価しかできません。

日本と中国って何が違うの?なんてとんでもない質問をしてくる人もいます。確かに、ヨーロッパと日本との違いに比べたら、日本と中国の差なんて些細でしょう。でも何が違うの?はないだろー。同じ食べ物食べるの?ってそんなわけないじゃん。海挟んでるのに。

そういう時は具体的に、日本と中国の距離が、ヨーロッパでいうとこれくらいだよーっていうのを示してあげたりすると伝わりやすいです。

 

とにかく、日本人でもスウェーデンとノルウェーってどっちがどっちだっけ? とか、アルゼンチンではアルゼンチン語喋るの? とか、イギリスってやっぱりご飯まずいの?ってイギリス人に言っちゃうとか、タブーなことをしてしまう人が沢山いるので、窘めません。

というわけで、日本人なら寿司作れるんでしょ、って言うくらい、西洋人なら英語喋れるんでしょ、とか、色んな国に行ったことあるんでしょとか、世界の事情に詳しいんでしょっていうのは偏見だなーと実際にヨーロッパに住んでみて思うようになりました。