イギリスでは、日本の銀行のように1000円札なら野口英世と決まっているような一つのデザインに紙幣の柄が統一されていません。
なんと、各銀行ごとに違う柄の紙幣を、金額ごとに発行しています。何を言っているのか分かりづらいかもしれないので、お見せします。
スコットランドで流通している4つの10ポンド紙幣
こちらがイギリスの£10紙幣で、左上がRoyal Bank of Scotland、右上がClydesdale Bank、左下がBank of England、右下がBank of Scotlandです。
それぞれ違う偉人の肖像を柄に使っていて、基調色は統一されていますがデザインは全く異なります。
これが裏側で、裏側にもまた地域ごとの有名な建造物などが載っています。スコットランドの銀行はやはりスコットランドの建築を載せていますね。
これはどれも£10紙幣として現在流通していて使えるものです。この写真の例ではスコットランドの紙幣が多くなっていますが、スコットランドではこの4つの銀行の紙幣を見かけることが多いです。
イギリスの紙幣は現在£5、£10、£20、£50の4種類ですが、その4種類の紙幣が、銀行ごとに違うわけです。イギリスの銀行は地方ごとに違う銀行が繁盛しているので、スコットランドで例えばBank of Scotlandなどスコットランドの銀行が発行した紙幣を使用しており、イングランドではこのBank of Scotlandの紙幣はあまり見かけません。イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドそれぞれの地域のそれぞれの銀行が独自の紙幣を発行しているので、一つの額に一体何種類ずつあるのか…。
どの地方の紙幣でも、イギリス国内であれば使えるのですが、他の地方の紙幣は流通が少なく、見る機会も少ないので、受け取る側は一瞬びっくりします。
イングランドの紙幣は割とどの地域でも使用されているのですが、逆にスコットランドの紙幣や北アイルランドの紙幣などは、イングランドではあまり見かけないため、スコットランドで暮らしている私がスコットランドの紙幣を持ってイングランドへ旅行へ行き、スコットランドの紙幣を使用しようとすると、受け取った人がびっくりすることがあります。これなんだ?使えるのか?って。
実際見かけない柄の紙幣を渡されたらそれが有効なお金だと認識するのにちょっと時間がかかります。私も以前お釣りで北アイルランドの紙幣を受け取り、普段見慣れない柄だったので大変驚きました。
お店で働いている人たちが、紙幣の一覧などを持っているのかは不明ですが、でもこれで使えないと断られたことはありません。
イギリス国外での両替
ただし、イギリス国外に行くと別です。以前イギリスから中国に渡り、ポンドを中国元に両替しようと上海の空港の両替カウンターでポンド紙幣を出したところ、なんと断られました。私が持っていたのはスコットランド紙幣だったので、店員さんに説明しましたが、確認が取れないためイングランド紙幣じゃないとダメだと言われました…。まぁ確かにイギリスの法律では全部使えることになっているけど、他の国での両替となると話は別ですね…。
なので、イギリスのポンドを両替する時は、イングランド紙幣以外の両替はイギリス国内にいるうちに済ませた方が安心です。たぶん日本ではそのへんきちんと調べてくれて両替できるだろう…と思ったんですが、友人情報だと、日本でもイングランド紙幣以外は断られることがあるそうです。やはりスコットランド紙幣、ウェールズ紙幣、北アイルラド紙幣を持っている場合はイギリスを出る前に両替した方がよさそうですね。
なんとも効率の悪そうなシステムですが、イングランドやスコットランドなど、同じ国の中でも地域のアイデンティティを大事にしているイギリスらしいと言えばイギリスらしいです。
日本でももし関東はこれ、関西はこれ、北海道はこれ、沖縄ではレアなシーサー柄の紙幣が…とかやってたら相当混乱しそうですよね…。それともコレクター切手感覚で楽しんでしょうか??
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