私は今回9月からエディンバラ大学正規の修士課程に在籍するのですが、その出願には英語力の証明が必要でした。

イギリスの大学の出願に必要な試験は基本的にiELTSです。TOEFL iBTも多くの学校で受け入れてもらえますが、大学のコースの場合はTier 4という学生用ビザが必要で、その申請にはiELTSが必須となっています。ですので、アメリカの大学に出願したついでにイギリスにもなんていう場合以外はiELTSを受けるのが一番です。内容としてはTOEFLと似たような感じですが、TOEFLより話題が広いと言われていて、アカデミックな内容だけに収まらない試験内容となっています。またスピーキングが対人です。私にはこれが良かった。

私の出願したエディンバラ大学のDesign and Digital Media学科ではiELTS6.5が条件でした。同じCollege of Artの建築科なんかだとiETLS7.0しかも全モジュールで7.0を取らなければならないというかなり厳しい条件でした。

私は留学を決意した時点でiELTSを受けたことはありませんでしたがおそらく5.5くらいだろうと先生に言われていて、日本人の苦手とするライティングもおそらく5.0いくか怪しかったです。なんの書き方のルールもアカデミック英語の知識もありませんでした。
知人には語学の勉強は現地に行くのが一番と勧めれ、ちょうど妹もオーストラリアで英語を勉強してからドイツに渡るところだったので、そこで私も語学学校に通うことに決めました。候補地は色々ありましたがでもほとんと頭の中でエディンバラ大学に行きたい気持ちが強くあったのでそこの付属校に行こうと思っていました。大学の出願にも強く志望していることが伝わりますし、正直最初は全く英語力が足りるようになる気がしなくて、もし大学院に行けなくても憧れのエディンバラで暮らしてみたいという気持ちもあったので、せめて半年はと思っていました。
結果的にはエディンバラが自分に合っていることも分かりましたし、大学を直接見て教授と話すこともできましたし、通った学校のコース自体も素晴らしいもので、その半年は自分の人生で最高の時間だったと言っても過言ではありません。

私が通ったエディンバラ大学の付属校はEnglish Language Teaching Centre 通称 ELTC という名前で、そこのEnglish for Academic Purposes(通称EAP)というコースで2014年9月から3月の2学期勉強しました。

昔は大学進学向けのEAPだけでなく他のコースもあったそうですが、私が入った年から全員アカデミック英語を勉強することになっていました。
アカデミック英語というと、論文を読んだり書いたり、大学の授業を受けたりプレゼンテーションしたりするのに使われる英語の勉強です。言語的な英語の勉強だけでなく、大学でのマナーなども勉強できます。日本の仕組みとは違う場合もあって、とても有意義でした。また英語を勉強するにあたり、毎日バラエティに富んだトピックを扱いますが、多国籍なクラスで、貧困、人口増加、肥満、宗教、経済、医学、など様々な問題を英語で議論したりして、違う意見が違う視点から深く話し合われて、英語だけでない国際的な知識理解が身に付きました。

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同じ教室で朝二つの授業を受ける。
この日はレポートでの参考文献・引用の書き方を勉強。

私のクラスメイトは一学期が8人クラスで、イタリア人、カザフスタン人、スウェーデン人、ドイツ人、チリ人、韓国人、中国人、そして私日本人の全員違う、様々な地域から集まってとても刺激あるクラスでした。全員信じている宗教も違いましたし、生活習慣、趣味、年齢もそれぞれでした。イタリア人、スウェーデン人、ドイツ人の三人は高校を卒業したばかりでしたが、その三人がクラスで一番英語ができましたし、10代とは思えない強い意志と意見そして知識を持っていました。日本の十代で経済や政治について真剣に語れる人がどれだけいるでしょうか。
年齢的にヨーロッパからあまり出た経験はなく(スウェーデン人の子は日本に来たことがありアジアの文化にも理解があったが)、国際的な知識、あるいは地理的知識などには劣るところがありましたがそれ以外は私がいつも勉強させてもらいっぱなしでした。
自分も負けてられないという強いモチベーションを保てましたし、クラスで仲良くなって、私の誕生日にはクラスの女の子全員が集まって誕生日会をしたり、それから巻き寿司パーティーもしました。
二学期はスウェーデン人、チリ人、韓国人の三人が帰国したので残りの五人となりました。
午後は選択制の授業で私は二学期ともiETLS対策講座を取っていました。そちらは朝のクラスにはいない中東の子達も結構いたりしてまた楽しかったです。

学校の構成はだいたい生徒が正確には分かりませんが50人くらい、クラスが学期によってレベル別に5-7クラスくらいで私は二学期とも一番上のAdvancedクラスでした。
Advancedは私のいたクラスだけで、他はIntermediateがまたレベル別に2-3クラス, その下は名前が分かりませんがまた2-3クラスという感じでした。

正直言うと、私は何故Advancedクラスに二度置かれたのか分かりません。毎日ついていくのがかなり苦しく、ヨーロッパ系言語を話すクラスメイトのボキャブラリーと私と中国人の子二人の差が大きく開いていました。私と中国人の子はよく隣同士で座り辞書をシェアしていました。
中国人と話してみると、驚くほど意思疎通ができる! 辞書は翻訳なしでお互い読めます。英英辞書も私の電子辞書に入っていましたが英和の方が良いというので二人で英和を使っていました。また言語的にも、似た間違いをよくしていたのでやはり中国語は音は全く違えど根本的な感覚は似ているんだろうなと思いました。
しかしボキャブラリーが英語の全てではないのですが、私たち二人は基本的にいつも苦しんでいました。毎日山のような知らない単語が出てきて、ノートがメモでびっちりでした。
一度二学期にまたAdvancedクラスに入れられて、一週間ほどしてやはりこのクラスは自分には難しいと感じて先生に相談したのですが、ここでいいと思うよと言われ、たぶんアジア人が二学期は二人しかいませんでしたし、相当アレでなければそのまま維持したかったんじゃないでしょうか。
でも今思うともう一つ下くらいがちょうどよかった気がします。無理してついていくくらいがちょうどいいとも思えますが、ちょっと自分のキャパシティー以上を毎日学んでいたかもしれません…。最高のパフォーマンスを得られたかというと…、自分の合ったクラスならより良い勉強になっていたかもとは少し思います。

良いことは、クラスの先生が素晴らしかったこと。
特に一学期午後のクラスと二学期朝の一限目を教えてくれたニコラという先生が、授業の準備で徹夜してしまうような熱心な先生で、毎日非常に興味深いトピックを持ってきてくれました。とてもチャーミングで美人な先生で、出願のことも手伝っていただきました。でも本当に真面目な先生で一度あまりに寝てなさそうだったので大丈夫なのか、いつのとても内容の濃い授業だけども無理してないかと聞いたところ、でも適当な授業するのは自分にはできないからと笑っていました。一時朝のバスが一緒だったんですが宿題を手伝ってくれたり(笑)
ただあまりに濃い内容だったので、毎日クタクタになりました。非常に重いトピックも沢山ありました。正義とは何か、動物実験の意義というあたりが印象に残っています。

それから途中臨時で2週間だけ教えてくれたピーターという先生も素晴らしかったです。印象に残っているのが、一度クラスメイト達が学期半ばでレポートなどが沢山あって疲れていた時があって、そうするとピーターは今日は楽しい授業にしようといって簡単な単語ゲームとおしゃべりだけにすると決めました。
「長く勉強していると、今日はどうしても集中できないという日があるのを知ってるよ」と言ってました。彼は実は生徒となる気持ちを忘れないために、数年に一度休みをとって色んな国に言葉を勉強しに行くらしいのです。エディンバラに来る前はイタリアでイタリア語を勉強していたらしく、クラスメイトのイタリア人とも楽しそうに話していました。また彼はクラスメイトひとりひとりの苦手なところに合わせてよく教えてくれましたし、話し上手で、とても温かい、楽しい先生でした。二週間しかいないのがとても惜しかったです。

他にも素敵な先生が沢山いて、英語以上のことを山ほど学びました。もし自分に子供がいれば、クラスメイト達のように大学に入る前に機会があればここで同じように勉強してほしいと思いますし、自分の世界が大きく広がりました。

正直先生がかなり自由に 授業を決めていましたし、ニコラのように教科書を宿題以外で使わない先生もいたので、先生に大きく左右されますが、それでもニコラやピーターを筆頭に熱心な先生が多かったです。

エディンバラに勉強に行くなら、他にも素晴らしい学校が沢山あるでしょうが、エディンバラ大学のELTCは学費に見合う勉強ができます!

あと、ここはエディンバラ大学の付属校なので、在籍中はエディンバラ大学Undergraduateということになって、エディンバラ大学の学生証ももらえます。なので大学の施設が使えます。図書館やジムも行けますし、大学のサークルなんかにも参加できます。私は図書館も語学学校内の方を使ってましたし大学の方は使いませんでしたが、学生証があるとバスの定期が割引だったりして便利です。

もちろんどの学校に行っても努力するのは自分ですが、クラスメイトや先生、施設など色々な要素がありますから、いい学校で勉強したいですね。