元々外国人の友達の多いので、私は今まで日本人以外の人とも付き合うことがありました。
まぁそこは文化の違いとか面白いし、色々話したいこともあるんですが、個人的な恋愛体験談はほどほどにするとして、
ヨーロッパで恋愛について日本と大きく違うところは、カップルが家族として扱われることです。
日本では、付き合いたてのカップルと、10年付き合ってるカップルと、
仲の良い友達は二人の事情を知っていても、社会的には結婚してなければ何年付き合っていようが家族扱いは公にはしないですよね。
例えば自分の親や子供や、奥さんや旦那さんが交通事故にあったら、仕事中断して病院にすっ飛んで行けると思いますが、 それが付き合いたての彼女だったらたぶん難しいですよね。
本人にとっては一大事だけど、会社からしたらまぁ家族としては見てもらえない。
でもヨーロッパでは違います。付き合って周りに真剣交際してますと公表した瞬間から、基本的には家族です。
どれくらい付き合ってるとか一緒に住んでいるかとか、もしくはその恋愛がどのくらい真剣なものなのか、色々程度はありますが、社会におけるカップルの立場が日本とは全く違うと私は感じます。
例えば部屋を借りる時、イギリスでは住民税がアパートの住人の構成によって変わります。
全員学生だと住民税免除、学生一人と社会人一人だと25%オフになります。
で、この社会人一人っていうのがさらに、カップルで一緒に一部屋で暮らす場合なぜか一人扱いになります。
一緒に住んでるってだけでrelated(関係がある、家族である)ってことになって、税金だけじゃなくて、社会的にもそういう扱いになります。色んな場面で一部屋って書かずに、一人もしくはrelatedな人と住んでる場合みたいに書かれます。そこに何の証明も定義もありません。苗字が違ってていいし、結婚してなくても先週出会ってても大丈夫です。
もちろんヨーロッパ人同士でも真剣な付き合いと、カジュアルな付き合いが日本人と同じようにあるので、そこは空気とかありますが、
本人たちが真剣な限り、周りもかなり真剣に扱ってくれます、日本人の私としてはびっくりするくらい。
私の経験だと、クリスマスは西洋の文化において日本の正月に相当する家族イベントですが、別に結婚してなくても十分真剣な付き合いをしてる場合呼ばれます。普通にプレゼントももらったし、親戚一同にももちろん会いました。家族旅行に連れて行ってもらって、飛行機代や宿代も全部お父さんに出していただいて、おじいちゃんには孫のついでにお小遣いまでもらったしホントに家族になった気になりました。
イベントごとにはカップルが参加基本OKで、日本だとカップル両方が友達でない場合呼ばれないような時もたくさんあると思いますが、こっちはホント基本カップルは一人扱いというか…。
先週ある会社のアニバーサリーパーティーにお呼ばれしたんですが、そこでも皆さん恋人を連れてきていました。
これは喜ばしいイベントではありませんが、以前付き合ってた人の家族が亡くなった際にはその家族葬にまで呼ばれました。
さらにこれもまた悲しい話なんですが、付き合えば別れることもあります。
こんな風にまるでホントに家族の一員のように扱ってくれて、一緒にいて当たり前な空気を作ってくれるので、別れるとダメージもでかいです。もちろん日本人でも失恋は悲しいけどね。
まぁそれで一度大事なプロジェクトの締切前に失恋をし、私は一人メソメソしながらプロジェクトを何とか完遂しないとと頑張っていたんですが、やっぱり精神的ダメージを負っている時人間はいい結果が出せないので、中間発表の時に先生に何か問題があるんじゃないかって聞かれました。
別室に呼ばれて、何かプロジェクトの進行を邪魔しているようなことがあるのかって聞かれて、
恥ずかしながら失恋したのであまり集中できてなかったことを話しました。
でもそれは言い訳にならないのでこれから頑張りますって言ったら、
教授に、それは集中できなくて当然だよ、自分のせいじゃないことでプロジェクトが影響を受けるのはフェアじゃないから、締切延長しますって言って、ホント二週間分延長してくれました。
さらに特別な申請の必要なそれ以上の延長の可能性を考慮するからって、学校のカウンセリングサービスを受けるように言われました。
失恋でカウセリングって…って恥ずかしかったんですが、カウンセリングを受けることによって学校側が問題を認知してくれるという話なのでとりあえず何度か受けました。
そこでも自分が思った以上に真剣に受け止められてびっくりしました。
延期の申し込み用紙の理由欄に「長期的な交際の破たん(結婚など)」と書いてあり、
私の場合結婚はしていませんでしたが、カウンセリングの先生にいや貴女の場合はそれに当てはまりまるからそこにチェックしておきなさいと言われて、知り合って三年付き合って一年とかだったんですけど、長期的な交際の破たんに値するそうです。というか長期的というのは定義のためにそう書いているだけであって、ようするに真剣だったかどうかってことだと思いますけど。
あと延期申込みの資料として、例のお葬式に出席した際の授業の欠席届のコピーなんかを添えて出しました。
失恋から何年も立ち直れないとかいうわけでもなかったし、カウンセリングを受けるというのも恥ずかしかったですけど、実際色々話して気が楽になったし、プロジェクトにまた集中する近道にはなりました。何より周りの人がそこまで自分の問題に同情してくれているということ自体が傷を癒し、寂しさを忘れさせ、期待に応えて頑張ろうという気にさせてくれました。
でも学生個人のプライベートな事情で学校がここまで対応してくれることに本当に驚きました。
冒頭の事故の例えでも、ヨーロッパで真剣交際している恋人が事故にあって、病院に行かせてくれない人は絶対いないと思います。日本だと場合によるって程度ですよね。
とにかく、真剣だったかどうかは完全に自己申告になりますが、
私はごく真剣に付き合っていて、将来も一緒に考えていたので、
周りの人がそれをここまで尊重してくれるというのは日本との大きな違いだなと思いました。
この扱いの違いは、ヨーロッパの中でも国によりますが、日本に比べれば全然違うし、特に結婚が減っている国では、代わりにボーイフレンドガールフレンドの言葉の意味がかなり重くなります。付き合った時点での責任が日本よりかなり重いです。だから交際までが日本より敷居が高くてそれが日本人には軽く見えるところもあるかも。
どっちがいいとかじゃないですけど、
でも本当に真剣に付き合っていると周りに公表した時点から完全に家族として扱ってもらえて、
こういう社会だから、結婚が減っているというのもよく分かります。
事実婚でいいじゃんってホントに思いました。
日本人にとって結婚ってカップルとして真に認められるという側面が強いと思うんですよ。
家族になるっていう。でもヨーロッパでは結婚しなくても本当の意味で家族になれます。
税金とか、社会での立場とか、友人達の扱いとか、書類にサインをすることでではなく、本人たちの意志と主張でそうなるわけなので。
だから結婚には宗教的な意味合いの方が強いという理由で単にしない人が増えているけれど、
カップル同士のつながりが希薄になっているとか、家族が減ってると言うことはなく、
逆に私の感覚ではヨーロッパでは付き合っているカップル同士は日本人よりずっと真剣に交際していて、別れる数は日本人と同じで、単にそれまでの過ごし方が違うというところです。
私は日本人の彼氏がいたことがあって、幸せだったし、付き合っているその時はもちろん真剣で、この人なら続くかも、結婚するかもって思ったこともありました。
でもまわりは実際に結婚するまでは家族としては認めてくれませんよね。
自分の親とか近い友達とかは実際の私の態度なんかを見てるから真剣なのはわかっているかもしれないけど。
でもヨーロッパではまわりがそう扱うことで本人達の真剣度もより高まっているような気がするし、
何より幸福度が高くなります、日本人以外と何人か付き合って経験したからいうけど、家族のように扱ってもらうって嬉しくないわけがない。
なんかヨーロッパ人は結婚しない、離婚が多い、遊んでるみたいなイメージがある人もいるだろうと思うんですけど、そんなことはない。
結婚の意味が大きく違うと思います。歴史的にも文化的にも。
結婚しなかったからその恋愛はゴールにたどり着かなかったという印象はありません。
逆に日本の交際ってタイトルにこだわりすぎていて、中身を見れていない人がいるんじゃないかなと思う部分もあります。
日本で生まれ育ったので、その感覚に慣れなくて苦しむこともありますし、理解できないことも沢山あります。
でも何度も思うことですが、 人生何事も外から見るのではなく、中に入って経験して初めてわかることが山のようにあるんだなと思います。
なのでそういう苦しみも私の人生をより豊かにしていることなのかなぁと思います。
日本のやり方がよいと思う部分も沢山あります。でも単に違うということ、その文化それぞれのやり方、意味、違いを学んで理解することで様々な幸せの形を知ることができて、今の国際社会においては、さらにそこで初めて自分の本当の幸せを考え、それに近づける社会に移り住むチャンスもあるわけですから、それができる人は恵まれているし、そのチャンスを批判して逃すより、挑戦して理解し選択肢を得る方がいいと思います。
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